第二話 地味なお菓子 Tamami Kumakura - ニューヨーク散策・人と街

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第二話 地味なお菓子 Tamami Kumakura


写真はケーキやパンが売っているイーストビレッジの『PANYA

「タミー、ちょっと買い物に行ってきてくれる?」 その日はバイト先の男の子、パーク(from タイラン
ド)の誕生日会で、おつかいを頼まれた。

ケーキはイーストビレッジの日系のベーカリー、『PANYA』で予約済み、私はそのピックアップ要員。「帰りに日系スーパー、『サンライズ・マーケット』によって、お菓子も買ってきてくれる?」とボスの軽やかな声、はいはい?、買い物はどんなものでも楽しいもの。ましてやスポンサー付きならなお、楽しい。

「集まりがアジア系の人ばかりだから、日本のお菓子だったらなんでも食べると思うよ」。

普段から「お菓子食い」を自称する同じバイト先のSさんの口から出たのは、称号に相応しい適切なアドバイス。そうかそうか、と思いながら気楽な気持ちで買い物に出かけた。

アメリカで生活していると、日本でのコンビニなどで繰り広げられる、凄まじいお菓子新製品大戦争を忘れてしまいがちだが、ニューヨークにも点在する、ありがたい日系スーパーマーケットに行けば思い出す。

「え?ハイチューってこんな味が出ているのね」とか、「食玩は買わない主義だが、このニャンコ・バーガーのキャラクターは可愛いな」とか、つい手に取ってみたり、それはそれで楽しいもの。私の場合は、お菓子より主食主義なので、3ドル以上するお菓子は黙ってラックに返すのが常なのだが、そのポリシーは揺るがないものなのだが。
写真はアメリカで販売されているポテトチップス

ところで、アメリカでのお菓子事情ってどうなんだろうか。デリはもちろん、D’AGOSTINOやWhole Foods Marketなどの大手スーパーを探してみても、ポテトチップスの種類は豊富だし、チョコレートでもクッキーでも見ていて楽しい。

最近でこそ、パッケージにUマークがついたものは、ユダヤ教の人たちも食べる事ができるKosher Food系だということがわかったし、韓国系のデリでは日本の商品とそっくりなものをいくつも発見し、99セントショップでは値段にかかわらず、メキシコの代表的ビスケットのような美味しいものを見つける事ができ、お菓子をあまり買わない私でも、情報はそれとなく入ってくるものだ。

※「U」も「K」もユダヤ教の食の戒律 Kosher(コシェル/コーシャー)のためのもの。


しかし、やっぱり、日本のお菓子事情は特殊なものがあるように思う。それはきっと日本の企業努力の賜物。とにかく製品に対して細かい。一つの商品で色々な味がある。現地もしくは季節限定商品や素材吟味というフレーズで、購買意欲を大いに掻き立てられる。ネーミングにしてもキャラクターにしても、ストーリー性とかキャッチーなものがほとんど。

また遺伝子組み替えの大豆やとうもろこしを使っていないというのを、胸はって宣言しているところなんかは、実に日本的。お菓子は今や日本の立派な文化の一つのように感じる。


マーケットに到着した私はお菓子コーナーで、適当だと思われるお菓子を物色した。気がつかないうちに3ドル以下のお菓子をほとんど選んでいた自分、習慣とは恐ろしい。 意気揚々に戻った私はお菓子の袋を手渡した。


写真はイメージ

「なにこれっ!婦人会の慰安旅行みたいな地味なお菓子は?」
その後、「これを探す方が大変だ」とか「誕生日に柿の種は、若い娘だったら選ばないよね、さすが年の功!」みたいな事とか、「エビモノだったら、かっぱえびせんにするとかさぁ」と、さんざん弾けるように笑われて、自分でもお菓子のセンスをうたぐりはじめた。

一連に、オシャレっぽいポッキーが含まれていたのが唯一の救い?

鈴カステラが入っていなかったのは不幸中の幸い?「いや、一つずつを取れば、確かに美味しいよね、でもねぇ」とホローになっていないSさんの言葉。よくよく真面目に見てみれば、実に「おばあちゃんの家の戸棚」に入っていそうなおやつたち・・・。


今度からお菓子を買う役目は人に任せようと、心に誓った夜だった。

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第二話 地味なお菓子 Tamami Kumakura Reviewed by Sakae Wade on 16:56 Rating: 5 写真はケーキやパンが売っているイーストビレッジの『 PANYA 』 「タミー、ちょっと買い物に行ってきてくれる?」 その日はバイト先の男の子、パーク(from タイラン